文豪に与えられる最高の栄誉の一つともいえるノーベル文学賞ですが、日本人で受賞した人物は二人だけです。22人ものノーベル賞受賞者を輩出している日本としては、かなり少ない受賞者数といえるでしょう。
日本人で初めてノーベル賞受賞者を受賞したのは、受賞したのは「雪国」「伊豆の踊子」などで日本人の心情を描いた川端康成です。1968年のことでした。続いての受賞は「個人的な体験」「万延元年のフットボール」などで現実と神話の混合する独自の世界観を想像した大江健三郎です。これが1994年でした。
1968年から1994年まで、かなりの期間日本人はノーベル文学賞を受賞していませんでした。そして1994年から現在に至るまでの20年間も、受賞者は現れていません。
日本人の文学は世界的にも独特の世界観を持つといわれています。しかしその反面で、日本人以外には理解しがたい部分もあるのかもしれません。今後も日本人のノーベル文学賞受賞者が現れることに期待したいところですね。

ノーベル賞の中でも少し異質なのが、ノーベル文学賞です。その名の通り、もっとも傑出した作品を創作した人物に与えられる賞ですが、いったいノーベル文学賞のなにが異質なのか、お分かりでしょうか?
ノーベル賞とはそもそも、アルフレッド・ノーベルが「人類のために貢献した人物に自分の財産を分け与える」という意味で創始した賞です。この「貢献」とは、どちらかと言えば物質的な貢献というニュアンスが強く、自然科学分野がもっとも価値のある分野と言われています。ただし経済学賞を除いた五部門は全て、ノーベル自身が設けた分野となっており、ノーベル文学賞もノーベル自身が設けた賞であることは間違いありません。
しかし、文学は人類の生活水準の向上に直接かかわる分野ではありません。物理学、化学、生理学、医学は全て、人類の生活水準の向上に直接関係する分野です。平和賞も他の分野と比較するとかなり特殊ですが、平和なくして生活水準の向上などありえません。では文学はどうでしょう?文学は人間の心を豊かにします。しかし物理的に人間の生活水準に関わるような分野ではありませんよね?
ではなぜ、ノーベル文学賞が存在しているのでしょうか?理由は非常に簡単です。創始者であるアルフレッド・ノーベル自身が文学を愛していたからです。少年時代から晩年まで、文学熱が冷めることはなかったと言われています。もし音楽や絵画を愛でていたならば、ノーベル芸術賞となっていたかもしれませんね。